【論文紹介】脳腱黄色腫症

2020年07月17日

今回の論文紹介は、治療可能な神経疾患として注目を集めている脳腱黄色腫症の症例報告です。著者の高曽根先生に解説して頂きます。

Takasone K, Morizumi T, Nakamura K, Mochizuki Y, Yoshinaga T, Koyama S, Sekijima Y. A Late-onset and Relatively Rapidly Progressive Case of Pure Spinal Form Cerebrotendinous Xanthomatosis with a Novel Mutation in the CYP27A1 Gene. Internal Medicine (2020).

脳腱黄色腫症は、常染色体劣性の遺伝性疾患で27-水酸化酵素の活性が低下します。この酵素活性の低下によりコレスタノールの産生が助長され、上昇したコレスタノールが脳や脊髄、腱、水晶体などの全身臓器に沈着し、様々な臓器障害を惹起します。自験例は、既報告例と比較し高齢発症で進行が早く、障害が脊髄に限局している点が非典型的でしたが、血液検査でコレスタノールを測定し上昇を認めたことで確定診断・治療につながりました。脳腱黄色腫症は治療可能な疾患ですので原因不明の脊髄症を診療される際は、コレスタノールの測定を検討するとよいと考えました。
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オンライン医局説明会を開始します

2020年07月13日

信州大学医学部内科学第三教室(通称:さんない)は、下記の日程でオンライン医局説明会を開催いたします。
今回が初めての試みですが、脳神経内科 科長 関島良樹 教授とリウマチ・膠原病内科 科長 下島恭弘 准教授より当科での研修の魅力をお伝えします。参加希望者は、添付パンフレットの方法いずれかにてご連絡ください。
神経疾患、膠原病、総合診療などに興味のある研修医の先生のご参加をお待ちしています。

説明会.JPG

オンライン医局説明会パンフレット.pdf
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論文紹介

2020年05月20日

本日は、脳神経内科からの症例報告がJournal of the Neurological Sciences誌に掲載されましたので、ご紹介します。

Morizumi T, Ueno A, Takasone K, et al. Elderly patient with 5q spinal muscular atrophy Type 4 markedly improved by Nusinersen. J Neurol Sci. (2020)

脊髄性筋萎縮症4型(SMA4)に対する核酸医薬品であるヌシネルセンの臨床的有効性を報告しました。遺伝学的検査では、SMN1にホモ接合性欠失が認められ、SMN2のコピー数は4コピーでした。発症後20年以上も経過していた恒例の患者さんにもかかわらず、投与後に、運動機能や日常生活動作が改善しました。
成人発症のSMA患者さんや高齢SMA患者さんにおいても、ヌシネルセンの髄腔内投与が臨床的に有効である可能性があり、今後の症例の蓄積が望まれます。
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論文紹介

2020年05月18日

先日に続き、リウマチ・膠原病内科より、マクロファージ活性化症候群と皮膚筋炎が合併した症例報告のご紹介です。著者の岸田先生に解説して頂きました。

Kishida, D., Sakaguchi, N., Ueno, K. et al. Macrophage activation syndrome in adult dermatomyositis: a case-based review. Rheumatol Int (2020).

マクロファージ活性化症候群(MAS)は、炎症性サイトカインの過剰産生によって発熱、肝脾腫、血球減少などをきたす症候群で、自己免疫疾患を背景に発症します。成人の皮膚筋炎に合併するMASの報告はこれまで18例と少ないものの、他の自己免疫疾患に伴うMASと比べ予後が悪く、副腎皮質ステロイドに加え免疫抑制剤、血漿交換、生物学的製剤などの積極的な治療を早期から十分行うことが必要と考えられました。また自験例を含めた19例中6例で抗MDA5抗体が陽性であり、同抗体はMASの発症に何らかの影響を与えている可能性が示唆されました。
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論文紹介

2020年05月15日

リウマチ・膠原病内科より症例報告です。著者の市川先生に解説して頂きました。

全身性エリテマトーデス(SLE)に合併した中枢神経原発悪性リンパ腫(primary central nervous system lymphoma ; PCNSL)の報告は散見されていますが、中枢神経SLEに合併したPCNSLは本例が初報告です。既報例を含めてレビューし、Rheumatology Internationalにてpublishされましたので紹介します。

Ichikawa, T., Shimojima, Y., Kishida, D. et al. Primary central nervous system lymphoma in neuropsychiatric systemic lupus erythematosus: case-based review. Rheumatol Int (2020).


【症例の紹介とレビューの概略】
20歳台後半にSLEを発症した若年女性です。ループス腎炎、中枢神経SLEおよびループス腸炎を呈し、プレドニゾロンに加えてタクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、シクロホスファミドで治療するも再発を繰り返しました。7年の経過でPCNSL(Epstein-Barr virus(EBV)陽性中枢神経原発B細胞性リンパ腫)を発症。腫瘍摘出術後に放射線治療を行い、リツキシマブおよびべリムマブ投与で寛解が得られました。
本例を含め、1972年から2019年までに報告された19症例をレビューしました。SLE患者におけるPCNSL発症の背景には、SLEの疾患活動性や関連臓器障害との因果関係が考慮されています。一方、SLEに合併するPCNSLではEBVの再活性化を介した様々な免疫介在性の発症機序が想定されており、長期にわたる免疫抑制療法の継続もPCNSLの発症に影響する可能性が示唆されます。本患者では外科的手術、放射線療法の後に自己反応性B細胞を標的にした治療を行い改善が得られましたが、本症の明確な病態背景は未だ不明な点が多く、今後も更なる症例の蓄積や関連研究が必要です。
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