論文紹介

2020年05月15日

リウマチ・膠原病内科より症例報告です。著者の市川先生に解説して頂きました。

全身性エリテマトーデス(SLE)に合併した中枢神経原発悪性リンパ腫(primary central nervous system lymphoma ; PCNSL)の報告は散見されていますが、中枢神経SLEに合併したPCNSLは本例が初報告です。既報例を含めてレビューし、Rheumatology Internationalにてpublishされましたので紹介します。

Ichikawa, T., Shimojima, Y., Kishida, D. et al. Primary central nervous system lymphoma in neuropsychiatric systemic lupus erythematosus: case-based review. Rheumatol Int (2020).


【症例の紹介とレビューの概略】
20歳台後半にSLEを発症した若年女性です。ループス腎炎、中枢神経SLEおよびループス腸炎を呈し、プレドニゾロンに加えてタクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、シクロホスファミドで治療するも再発を繰り返しました。7年の経過でPCNSL(Epstein-Barr virus(EBV)陽性中枢神経原発B細胞性リンパ腫)を発症。腫瘍摘出術後に放射線治療を行い、リツキシマブおよびべリムマブ投与で寛解が得られました。
本例を含め、1972年から2019年までに報告された19症例をレビューしました。SLE患者におけるPCNSL発症の背景には、SLEの疾患活動性や関連臓器障害との因果関係が考慮されています。一方、SLEに合併するPCNSLではEBVの再活性化を介した様々な免疫介在性の発症機序が想定されており、長期にわたる免疫抑制療法の継続もPCNSLの発症に影響する可能性が示唆されます。本患者では外科的手術、放射線療法の後に自己反応性B細胞を標的にした治療を行い改善が得られましたが、本症の明確な病態背景は未だ不明な点が多く、今後も更なる症例の蓄積や関連研究が必要です。
posted by 三内 at 08:45 | 論文・発表紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする