本大会では、優れた業績を挙げた若手のアミロイドーシス研究者・医師を表彰するため、「日本アミロイドーシス学会賞(池田賞・安東賞)」が設けられています。
このうち、当科の田尻正輝医師(現・長野赤十字病院)が池田賞を受賞しました。
昨年、学術誌 Amyloidに掲載された論文「Neurofilament light chain as a biomarker for hereditary ATTR amyloidosis − correlation between neurofilament light chain and nerve conduction study」での研究成果が高く評価されました。
本論文では、遺伝性ATTRアミロイドーシスにおいて、神経障害を反映する血液バイオマーカーである neurofilament light chain(NfL: 神経フィラメント軽鎖)が、神経伝導検査の指標と強く相関することを初めて明らかにしました。NfLは重度の神経障害でも変化を検出できる高感度な指標であり、治療効果を鋭敏に反映する新たな血液バイオマーカーとして期待されています。現在は一般臨床で測定が難しいものの、今後アミロイドーシス診療における有用な評価ツールとしての実用化が期待されます。
田尻先生のコメント
「大変栄誉な賞をいただき嬉しく思います。今後もアミロイドーシスの診療と研究に真摯に取り組み、さらなる発展に貢献できるよう努めてまいります。」
また、ポスター発表部門では、佐藤充人医師(神経難病学、バイオメディカル研究所)が「断片化トランスサイレチンに対する自己抗体の検出と野生型ATTRアミロイドーシスの関連性」という演題で最優秀演題賞(ポスター部門)を受賞しました。
本研究では、ヒト血液中にトランスサイレチン(TTR)に対する自己抗体が存在することを明らかにし、特に一部が切断された断片化TTRに対する自己抗体価が、野生型ATTRアミロイドーシス患者群で有意に高値を示すことを見出しました。この成果は、断片化TTRが疾患発症メカニズムに関与している可能性を示すとともに、病態評価や診断に応用できる新たなバイオマーカーとなる可能性を示唆しています。
佐藤先生のコメント
「本研究で明らかとなった断片化TTRに対する自己抗体価測定法をさらに最適化し、将来的には一般検査室でも利用可能な臨床検査法として確立したいと考えています。道のりは平坦ではありませんが、諦めずに努力を続けます。」

